IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:プレス発表 「2010年度 制御システムの情報セキュリティ動向に関する調査」報告書の公開

 従来、サイバー攻撃の対象は情報システムが主体であり、そのシステム上にある資産や情報等を狙うものでした,VCAD510J。しかし近年では、今まで独自の仕様であった制御システム(ICS:Industrial Control Systems)の環境のオープン化(汎用製品や標準プロトコルの利用)が進んでいることから、サイバー攻撃の対象は制御システムにも及びつつあります。2010年度に発見された制御システムを攻撃するコンピュータウイルス「Stuxnet」は、国内外における産業関連を主としたコンピューター数百万台への感染が報告されています。

 IPAでは、2008年度から制御システムに対する情報セキュリティ面での脅威と対策について、調査と提言を実施しています。2010年度は、制御システムのセキュリティに関わる現状(制御システムのインシデント事例と新しいサイバー攻撃手法の分析)と、前年度までに調査した欧州と米国に続き、アジア3か国(韓国、中国、タイ)について調査するとともに、スマートグリッドにて用いられるスマートメーターおよびHEMSなどその周辺の制御システムに関する技術動向について調査を行いました。今回の調査結果から、欧米、アジア、日本における制御システムセキュリティへの取組み状況を4つの視点(ガイド,MB2-702J?ツールの有無、評価?検証の仕組み、脆弱性関連情報のデータベース、製品認証の実施状況)で整理し、比較しています。

 アジアは欧米に比べて、各国の制御システム関連のセキュリティ施策に疎密が見られ、脅威への認識や対策についても相違が見られましたが、韓国や中国では制御システムのセキュリティに関して、国際的な標準に基づく認証への対応に向けて検討が進められていることが明らかになりました。
 また、導入や実証実験が進められているスマートグリッドにおいては、家庭の電力制御に関わるスマートメーターとHEMSが重要な要素となりつつあります。そこで、ピークシフト等による電力使用効率の向上や、電気自動車の普及等による電力需要の変動に対応するため国内で今後利用拡大が見込まれる、スマートメーターとその周辺の制御システムのセキュリティ動向や、特に家庭での電力制御の中心となるHEMSの現状とその検討状況について整理しました,70-413J。(下図参照)

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図1 情報技術を使って家庭の消費電力を制御する住宅(スマートハウス)の位置づけ

脚注

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情報処理推進機構:情報セキュリティ:PKI における UTF8String 問題に関する調査

 PKI ( Public Key Infrastructure :公開鍵暗号基盤)において使われるデジタル証明書の様式として X.509 バージョン 3 の様式が採用されている。この中の諸項目について、インターネット標準文書である RFC 3280 は、「 2004 年 1 月 1 日以降は UTF8String 型で文字列を保持すること」と規定している。

 その項目には、 DN と呼ばれる(認証対象となる主体の名称を表す)基本的な項目も含まれる,74-325。これは、 PKI の基本的な信用モデルを成立させるための「 PKI を構成するシステムがオンラインで信用パスを検証する」という基本的な処理においても対象となる項目である。人間による可読性の観点からは、既存の PrintableString 等のエンコードによる文字列と、今般の UTF8String による文字列の間には、外見上の差異は無い,70-417。しかし、システムが処理するときには、両者は、全く別のデータ形態となってしまう。(例:同一主体の名称を、同一主体として判定できなくなってしまう,VCAD510J。)

 UTF8String は、文字コードにおける Unicode の系譜に属するエンコード仕様である。 Unicode の文字コードと、他の日本語の文字コードとの間では、「マッピングテーブル」と呼ばれる変換表を参照することになる。 UTF8String と既存の PrintableString 等の間の関係も、理論的には、マッピングテーブルを用いて変換可能であるが、処理が重くなるので、 PKI を構成する多くのシステムによる採用を期待することは、困難である。

 このような問題は、日本語を含む多くのアジア圏の言語に存在するはずであり、この導入に伴う影響は大きい。また、これまでの標準化活動における議論が不十分であったので、実俚膜藪裼盲悠冥丹欷皮い胱礇rにある。