今やIT(情報技術)は、あらゆる産業活動や国民生活に浸透し、ITを活用して社会に利便をもたらすインフラとしての役割を途絶えることなく提供することが求められています。またITが時差や国境を超えたビジネスの展開を可能にしたことからユーザー企業の海外進出やIT企業のグローバル展開が活発化するなど、日本は国際競争力強化のためにITを活用し、グローバルに活躍できるIT人材の育成が社会的使命となっています。
そのため、人材を供給する高等教育機関(大学、高等専門学校等)とIT人材を求めるIT企業(産業界)双方のニーズに対応した産学連携による実践的なIT人材育成活動の必要性がますます高まっています。
産学連携による実践的IT教育を進める意義は、将来産業界でITを活用して新しいITやサービス、ビジネスを創造できる人材として活躍するための基礎となる実践的な能力を身に着けるための教育を産学連携により拡充することで、学生の将来展望を広げ、多くの優秀な学生が社会に輩出されることにより、社会、産業の発展に寄与することにあります。
「IT人材白書2011」において、IT企業(産業界)が情報系の教育機関に対して特に重視してほしい教育内容を尋ねたところ、第1位「コミュニケーション能力」(57.4%)、第2位「チームワーク、協調性」(45.2%)で、社会人として求められる基礎的な能力が上位を占めています。また技術分野については、第1位「プログラミングや実装に関する知識」(34,BCABA.9%)、第2位「ソフトウェア工学全般に関する知識?経験」(33.0%)、第3位「システム開発手法や開発プロセスに関する知識,MB2-876J?経験」(31.3%)、となっています。このことからIT企業では、実務に従事するために必要な、基本的なスキルを身につけた即戦力となる人材を望んでいると考えられます。
また、情報系高等教育機関に、重視している教育内容を尋ねたところ、第1位「コミュニケーション能力」(85.6%)、第2位「プレゼンテーション能力」(85.1%)、第3位「問題解決力」(63.5%)で、技術分野については、第1位「プログラミングや実装に関する知識」(83.8%)、第2位「情報系の学問分野の知識」(77.0%)、第3位「ソフトウェア工学全般に関する知識?経験」(58.1%)、第4位「システム開発手法や開発プロセスに関する知識?経験」(58.1%)となっており、IT企業(産業界)および情報系の教育機関とも、重視すべきと考える教育内容はほぼ一致していると言えます。
そこでIPAでは、実践的なIT教育による人材育成を目的に、産業界、高等教育機関双方のニーズが高いテーマを選定し、情報系学部?学科の学生向けの汎用的な教育コンテンツを開発し、無償で提供を開始しました。大学等高等教育機関では教員がこれを素材として用い、講座の目的に沿ってカスタマイズして講座で活用できるようになります。
この「汎用的教育コンテンツ」は、産業界が高等教育機関に求める「業務遂行力の岢伞工蚰康膜艘韵陇?つのテーマで提供し、①チーム演習によるプロジェクト体験を通じた問題解決力、②論理的思考力、コミュニケーション力などのパーソナルスキル、③,C4120-783;実システムを意識したソフトウェア設計技法などが盛り込まれています。
各コンテンツの概要は別紙をご参照ください。
IPAでは、上記汎用的教育コンテンツが、大学等高等教育機関で広く活用され、実践的IT教育が普及することにより、企業で即戦力となるIT技術者が社会で活躍し、また、わが国のIT産業の競争力向上に寄与することを期待します。